ユグドラシル

Youtubeに動画を投稿しています。主に家の庭や園芸で重要なテクニックについて話しています。

○バラの樹形

バラの分類の上で重要なのは樹形による分類です。樹形は大きく分けて全部で三種類あります。木立ち性、半つる性、つる性です。下の図は、バラの樹形による分類を表しています。

木立性と半つる性は、それぞれブッシュおよびシュラブとも呼びます。つる性はクライミングと言うこともあり、略記として”CL”と表記することもあります。

図 樹形によるバラの分類

世の中、完全な分類というのはなくて、バラの種類によってはブッシュとシュラブの間であったり、限りなくつるに近いブッシュであることもしばしばあります。しかしこの分類を意識することは、バラを育てる上で非常に役に立ちます。

◆木立ち性(ブッシュ)
木立性とは名前の通り、木のように自立している性質を表します。樹木のようによほどのことがなければ、倒れることはないです。対照的なのはつる性です。この樹形のバラは比較的扱いやすいバラであります。

木立性バラのデスデモーナです。デスデモーナは四季咲き性で
薄いピンク色の花を咲かせます。

ベビーロマンティカです。木立ち性のバラです。
もともとは切り花品種でしたが、切り花品種の中では比較的丈夫なので普通のバラ苗として販売されました。樹勢が弱いので剪定は軽くとどめた方が無難です。

 ブッシュは四季咲き性のバラに多いです。それではなぜでしょうか。四季咲きというのは、花をずっと咲かせます。なので、枝を伸ばすのに使える時間やエネルギーが限られます。少しずつ枝を伸ばしては咲かせ、またちょっとずつ伸ばしては花をつけて、といった繰り返しをします。

したがって四季咲きのバラは、一季咲きのバラに比べて、枝が伸びにくいのです。その結果、ブッシュ型になります。だからといって、剪定をしなくてもいいかと言うとそうではありません。木立ちとはいえ、だんだん背は高くなります。そのまま無視すると、枝が伸びすぎて収支のつかない状態になります。したがって時には切り戻すことも栽培上は必要です。

◆つる性(クライミング
つる性は、つるを伸ばす性質を表します。そのようなバラをつるバラと呼びます。一季咲きのバラは、つる性とシュラブが多いです。なぜかは四季咲きのバラを比較すれば、見当はつきます。一季咲きのバラは一年に一回しか咲きません。残りの時間は枝を伸ばすのに使えるのです。したがって夏以降は、枝を伸ばすことに専念できます。そのためつるのようなバラになるのです。

返り咲きはどうでしょうか?返り咲きのクライミングローズもありますが、一季咲きほどは長く枝を伸ばさない傾向があります。そのため、つるを誘引するのが一季咲きのバラに比べてやりにくい恐れがあります。繰り返し咲きであるとなおさらです。なぜならば頻繁に花を咲かせるので、枝を伸ばす時間があまりないからです。木立ちほどではないが、枝は固くなります。繰り返し咲きであるなら、形がシュラブに近いので、思い切って木立ち状に仕立て上げる手もあります。好例がアンジェラです。

アンジェラは繰り返し咲きのバラです。作られた国であるドイツでは木立ち
扱いになっていますが、気温が高い日本では枝がよく伸びてつるバラ扱いに
なっているのです。このようにつるバラかブッシュかは、地域によって
扱いが異なる好例です。函館ならどうでしょうか?けっこう木立ち扱い
するのは難しくないです。

ではクライミングローズに、四季咲きのバラはあるかと言うとかなり考えにくいです。なぜかは、今までの文章を読めば概ね見当はつくはずです。四季咲き性とつる性は相容れにくいのです。四季咲きに近いつるバラもあります。

つるバラは、ある程度慣れないと扱いにくいです。なぜなら壁やトレリス、オベリスクみたいにつるを引っ掛ける(誘引する)要素がないと、扱いづらくなるからです。あまり私はやったことがないので、そんなに扱えないかもしれないです。


◆半つる性(シュラブ)
木立性とつる性の中間です。自立はある程度するけど、枝の伸びが木立ちよりは大きいです。このバラは、四季咲き性のバラにもあるし、一季咲きのバラにもあります。横張りと呼ぶこともあります。






夏の畑と花壇

昨日は寒かったのですが、今日は結構暑かったです。きゅうりはものすごく良く育っています。出だしは遅かったけど、一度実がなると安定して収穫できます。ズッキーニもかなり安定しています。

トマトはなりだすのは遅かったけど、順調に収穫できています。



畑の様子はこんな感じなんですが、ダリアが際立っています。思いの外咲いていて驚きました。しかもダリアの陰にスイスチャードを育てているのですが、日陰であることがうまくいって、スイスチャードの葉が柔らかくてサラダにしやすいのです。来年もまたやってみようと思いました。

ダリアは種まきダリアです。品種はビショップチルドレンです。赤の花が多いのですが、紫も咲きました。他にも白や黄色やオレンジもあるらしいがまだ出会っていません。意外と種まきダリアは育てやすいです。室内で育苗するのですが、もし徒長してもピンチをすれば、いい塩梅の高さにコントロールできます。



最近ではこんなものも育てています。イトバハルシャギクの変種です。宿根コスモスとも呼ばれます。ネットでは一年草と書かれていましたが、多年草であると言っている人もいます。

たぶん地域によって違うんだなと思いました。この手のパターンは2つあります。
1つ目は暑すぎてやられてしまう例です。プリムラがいい例です。本州の暑い地域ですとプリムラ一年草扱いされます。地域によって夏越しできない例ですね。このパターンであれば、函館なら多年草にできるチャンスがあります。
もう一つ目は寒すぎてやられてしまう例です。函館で言うと、オリーブやローズマリーなんかがいい例です。宿根コスモスの場合、おそらく寒さに強いですから、前者のパターンが当てはまりそうであると推測しています。

イトバハルシャギクより、乾燥に弱い傾向があります。花が綺麗なので、地植えでも育ててみたいです。



こっちがイトバハルシャギクです。黄色い花です。
ピンクの花はゲラニウムです。そろそろ花は終わりそうですが、この花は秋に咲くこともあるのです。去年は11月くらいにひょっこりと咲きました。二季咲きに近い花かもしれません。




このように一年草宿根草、一季咲きや四季咲きや二季咲きも地域によって考え方が変わるんです。いや同一地域ですら、その時の気候や状況によっては変化することもしれません。なのでネットの情報に必要以上に振り回されるのは、あまり賢明ではないと思っています。ネットの情報で価値を決めるのは、どの地域で撮影したかです。なのでブログや動画では、どのへんで栽培しているかはきちんと書くべきであると思っています。そのへんが抜け落ちている方がけっこういると思っています。


○返り咲き、繰り返し咲きとは?

今回は返り咲きと繰り返し咲きについて述べます。前回は一季咲きと四季咲きについて話しました。一季咲きは春だけ咲く性質を指します。桜や梅も好例です。それに対して四季咲きとは、一定の温度があれば何回でも咲く性質を表しています。冬でも温室などの環境では咲きます。

返り咲きとは何でしょう?一季咲きの仲間と考えたほうが分かりやすいです。一季咲きよりは、夏や秋にちょっとだけ咲くかもしれない性質を表しています。

一季咲きは春にたくさんの花を咲かせて、花が終わったあとは、長く枝を伸ばすのにエネルギーを使います。したがってつる性や半つる性のバラは、一季咲きの種類がたくさんあります。なぜなら枝を伸ばすのに、年がら年中花を咲かせると、つるを伸ばすのが難しくなるからです。花を咲かせることは想像以上のエネルギーを使うのです。

返り咲きは、春の花が終わったあと、夏や秋に少しだけ咲くかもしれない性質を表します。状況(気候、株の調子、個体差)によっては、少し咲いて終わるかもしれないし、ある程度咲いて終わるかもしれないからです。「一季咲きよりはちょっと咲くかもしれないよ」って思えば良いかもしれません。

返り咲きのキーワードは、不確定性です。こんな例を考えれば良いかもしれません。ある歌手が「さだめ川」という曲を出しました。結構ヒットして紅白にも出場しました。さて次の曲なんですが、ちょっと路線を変えたものをリリースしたら、全く売れなかったのです。さらに三番目の曲として、ポップスの「女どうし」をリリースしたらあまり売れなかったのです。ものすごく芳しくない状態です。そして演歌路線の「酒場川」を出したらまずまず売れて、これで紅白に出ました。こういう状態を返り咲きといいます。新聞にはきっと「ちあきなおみ。返り咲きする」といった見出しになると思いました。

これは不確定性をよく表している例です。返り咲きはどのくらい咲くか分からないから、返り咲きなのです。状況によっても変わるかもしれません。地域や気候、バラの調子などでも左右されます。

繰り返し咲きも不確定性がキーワードになります。しかし返り咲きよりは、繰り返して咲く要素があります。つまり返り咲きよりも、夏や秋に開花する可能性が高いのです。一季咲きの仲間と見たほうが分かりやすいです。

繰り返し咲きと返り咲きの違いは、夏や秋にどのくらい咲くかで決まりますが、明確なラインはありません。気候や個体差によって、変化するかもしれないのです。「返り咲きよりは、たくさん咲くかもしれない。」と思えば良いのです。いずれにせよ過度な期待は禁物です。



つるバラをアーチや壁に絡ませることがあります。それでつるバラの苗を選ぶときに、「それだったら一季咲きよりも、夏や秋にちょっとでも咲くかもしれない返り咲きや繰り返し咲きの方が良いのでは?」と思うかもしれません。しかし返り咲きや繰り返し咲きでは、思うようにつるをアーチに絡ませることができない場合があるのです。

一季咲きのバラですと、花が終わったあとはツルを伸ばすのに専念します。したがって、アーチや壁に絡ませるのは容易です。いらない枝は切り落とせば良いのです。一季咲きは枝をたくさん伸ばしてくれるので、どの枝をアーチに絡ませるかの剪定もやりやすいです。

それに対して返り咲きや繰り返し咲きのつるバラは、一季咲きよりも花を咲かせている時間が長いので、枝は伸びにくいのです。一季咲きのつるバラと違い、つるを伸ばして花を咲かせる流れになるので、つるの伸びが良くないのです。またつるが伸びるのに時間がかかるので、つる自体が固くなります。返り咲きや繰り返し咲きのつるバラは、枝が伸びにくい上に固くなるので、うまくつるをアーチや壁に絡ませることができない恐れがあるのです。












○バラ:一季咲きと四季咲き

バラを育てるに当たって、重要な用語として一季咲きと四季咲きがあります。これはバラの花がどのように咲くかを表した用語です。

◆一季咲きとは

一季咲きとは、春だけ花を咲かせる性質を指します。名前の通り、一年に一回だけ咲くバラのことです。有名な例としては、ノイバラがあります。桜や梅も一季咲きの典型例です。一年に一回だけしか咲かないから、花が咲いたあとは枝を伸ばすためにエネルギーを使います。花もたくさん咲かせます。図式で表すと以下のようになります。

春:花がたくさん咲く → 夏:咲かない → 秋:咲かない → 冬:休んでいる

「一年に一回しか咲かないならあまり嬉しくない」と思うかもしれません。一季咲きのバラは豪華に花がさくので、四季咲きではこのような性質を中々味わえません。ただ、一年に一回しか咲かないから、そこがデメリットだと感じる方もいると思います。その時は、一季咲きではなくて四季咲きのほうが良いかもしれません。

つる状に伸びるバラは一季咲きが多いです。なぜなら一季咲きは一年に一回しか花を咲かせないので、花が咲いたあとは枝を伸ばすのにエネルギーを使えるからです。しかし返り咲きや繰り返し咲きのように、一概には言い切れない例もあるので、後ほど解説します。

一季咲きのローブリッターです。一季咲きは性質上非常に大きくなりやすく
、鉢植えでバラを育てている私にとっては扱いにくかったです。
そのため友達にローブリッターを譲りました。花はとてもきれいですよ。



◆四季咲きとは

四季咲きとは、名前を見ると「年がら年中咲くバラ」であるイメージがあるかもしれません。それは概ねあっています。厳密に言うと四季咲きとは


「一定の温度がある状態で、花が咲き終わったあとに剪定すれば、必ずまた新しい花がさく性質」

を指します。難しそうに見えますが、解説していきます。まず冬にバラは咲きません。葉っぱを落として枝だけになります。そして春になると新芽が出て、枝が伸びて花が咲きます。通常花がさくのは、春から秋の間になります。図式で表すと以下のようになります。

春:花が咲く → 夏:花が咲く → 秋:花が咲く → 冬:休んでいる


四季咲きのピースです。美しい花色が特徴的です。
花が大きいです。

四季咲きのアイスバーグ。白い花が印象的。丈夫で強健なので
おすすめです。花の大きさは中くらいです。

「じゃあ温室だったら、四季咲きのバラは冬でも花が咲くのか?」と思った方はカンが良いです。そのとおりです。切り花用のバラは、四季咲きの性質を利用して、温室で栽培しています。このように切り花のために育てられたバラの品種のことを「切り花品種」と呼びます。

では切り花品種のバラは、庭で育てやすいでしょうか?これはかなり厄介なことになります。なぜなら外の気候は、温室のように安定した気候ではないからです。外では雨もふりますし、風もふきます。虫や病原菌もたくさんいます。したがって切り花品種のバラを、庭で育てるのは難しいのです。病気に強い切り花品種はあります。そのような品種のバラは、庭用のバラ苗として売られていることもあります。

さて話を戻します。四季咲きのバラは春と秋にきれいな花を咲かせます。私は秋のバラが大好きです。函館を例に取ると、6月終わりくらいに春のバラが咲き出します。品種によっては遅れることもあります。9月と10月は秋バラです。11月咲くのは結構珍しいです。

四季咲きのバラは、花が咲き終わったら剪定すると、新芽が出てきて、また花を咲かせます。どのくらい花がさくのに時間がかかるかは、気候や品種によります。花を咲かせるためには、剪定することが重要です。さもないと花から実(ローズヒップ)ができて、バラのエネルギーを大きく消耗してしまい、他の花が咲きにくくなります。他にも剪定しなければ行けない理由はありますが、ここでは割愛します。

夏もバラは咲きますが、あまりにも暑いとそれほど良い花にはならないことが多々あります。なぜぼかした表現にしているかといいますと、地域や気候によっては夏でも良く咲くことがあるからです。高地や寒冷地では夏でもバラが咲きます。


◆一季咲きが良いか?四季咲きが良いか?

最初にバラを買うときは四季咲きのバラが良いと思います。一年に何回もバラが咲くので、育てがいがあります。一季咲きは四季咲きを買った後でも遅くないでしょう。一季咲きを最初に買うのも悪くないですよ。桜のように豪華な花ぶりを見ることができるのは一季咲きならではの性質です。ローズヒップを収穫したいと思っている方も一季咲きが良いでしょう。









○一年草と多年草

園芸で重要なこととして、一年草多年草の考えがあります。まずは植物の一生について話します。朝顔を例にとって説明します。

朝顔は種をまくと、芽が出て双葉が出て本葉が出ます。そしてどんどんと大きくなって、やがて花を咲かせます。花が咲き終わると、実をつけて新しい種を残します。これが子孫になるのです。そして冬になると枯れて一生を終わります。

発芽→成長→開花→種を残す→枯れる

このようなサイクルを一年で完結するものが一年草です。通常は春に芽が出て、冬に枯れる植物が多いです。例外もありますが、今回は趣旨でないので除外します。

それに対して多年草は、冬枯れたあと、来年の春になるとまた新しく新芽が出ます。そして花を咲かせます。多年草は上記のサイクルを複数回繰り返しているとも言えます。

さて一年草は人生が一年しかありません。生きている間に子孫を残さないと生存競争には勝てません。なぜならば、一年草は一年しか生きることができないからです。したがって、一年草は花をたくさん咲かせる傾向が強いです。マリーゴールドが好例です。コスモスもたくさん花を咲かせます。したがって、花をたくさん見たいというときは一年草を選ぶと良いのです。

それに対して多年草は、数年以上生きます。一年草よりも寿命が長いのです。なので「まだ長い人生だし、そんなに無理して子供を残さなくてもいいよね。」って考えになります。したがって一年目は株を大きくすることに専念して、ちょっとしか花を咲かせないかもしれません。二年目になって、一年目よりも多く咲くこともあります。ほとんどの多年草は、咲いている時期(花期)が限られています。例えばスイセンは春頃に花を咲かせます。桔梗は初夏から夏くらいに咲きますし、萩は秋口から咲き始めます。いつ咲くかは種類によっても違いますし、地域や気候によってもズレがあります。少しずつ成長することを楽しみたい場合は、多年草が良いのですね。

多年草宿根草とも呼ばれることもあります。冬に茎や葉は枯れますが、根は残っているので、来年の春に新しく芽が出るのです。

したがって宿根草一年草みたいな性質を求めることはナンセンスです。たとえば「年がら年中花が咲いて、黙っても冬越しできて、楽できる植物ないですか?」。そんなものはないです。銀の弾丸はないのです。

それでは木はどっちに入るかというと、多年草に近いです。木と草の違いは、冬になると良くわかります。冬になると、木は幹を残しますが、草は全部枯れます。たとえばラベンダーやバラは木の一種です。多年草と同じく何年も生きますが、冬になると幹を残します。

積雪が多い地域において、雪が溜まる場所に植物を植えることを考えます。植える植物が草(多年草一年草)なら問題はないです。なぜならば草は冬に枯れるからです。しかし木の場合は一考を要します。なぜなら雪によって幹が折れたら大変なことになるからです。したがって、雪が積もる時は木を保護するなどの対策が必要になるのです。

木は草よりも寿命が長くて、成長はゆっくりです。もちろん例外もあります。したがって木を鉢植えで育てることは、案外難しくないです。木は乾燥にも比較的強いです。

それでは種で苗を作るとき、一年草多年草はどっちのほうが作りやすいでしょうか?それは一年草です。なぜなら一年草は人生が一年しかないので、株が大きくなるスピードも多年草に比べて早いからです。ネギや二十日大根のような野菜の種は、比較的育てやすいです。小学校の理科教材で、朝顔やひまわり、野菜のように一年草が多いのも、育てやすいことが一つの理由になっています。